アバハウス meets BEGIN 光木編集長 SPECIAL INTERVIEW

VISUAL | アバハウス meets BEGIN 光木編集長 SPECIAL INTERVIEW

VOL_2

この冬、アバハウスがレコメンドするアイテムについて、
雑誌『ビギン』の光木拓也編集長にインタビューするスペシャル企画。
第二回は<アバハウス>の冬を代表する、<河田フェザー>を使った渾身のダウンジャケットです。
大好評につき、今季で3年連続となるこのプロジェクト、
その人気の秘密を一体どこに感じてくれたのか。
ものづくりの魅力を深堀りしながら、
読者目線に立った的確なアプローチで人気の雑誌編集長による
鋭い考察・ご意見をお楽しみください!

INTERVIEW KWD撚り杢ジョーゼット ダウンコート

ABAHOUSE の巧さ

まずは、光木編集長にとっての<アバハウス>のイメージを教えてください。

光木 「初めての出会いは90年代の学生の頃でしたが、その時はモード感が欲しくて手を出すブランドでした。でも、20年たった今は、いい意味で変わっている。良い意味でイメージが定着しないのが僕にとっての<アバハウス>。つまりその時代のトレンドを賢く取り入れて着地させるのがうまいんです。『ビギン』の読者の中では、そういった”巧み”を理解したクレバーな人が選んでいると思いますね。やっぱりインポート至上主義の人って、ちょっと頭でっかちだったりするところがあって、ブランド力を買うために貯金しているわけですよ。でも、<アバハウス>っておしゃれな人ほどモノの価値をわかって飛びつくんです」

うれしいお言葉! このダウンジャケットも、まさにモノの魅力を求めているお客様に大変喜んでいただき、昨年は需要に供給が追いつかないハイペースで売れました。その経験もあって、今回はさらに思い切って数を仕込んでいます。ちなみに、ダウンの市場をどのように見られていますか?

光木 「インナーダウンもすっかり市民権を得ましたが、相変わらず人気ですよね。『ビギン』的には週7でずっと着られるアイテムだと思ってます。『モンクレール』や『カナダグース』といった欧州ブランドもそうですが、ダウンってランドマークになりやすいから、レイヤードを考えずに最短距離でカッコよくなれる。週末なら、インナーを気にせずデニムに合わせるだけでスタイルが完成する。一枚で十分暖かいし、見た目のインパクトもあるから、コーディネートが簡単なんですよ。しかもアウトドアブランド特有のシャイニーな表地、例えばナイロンや60/40クロスだとスーツには正直合わせにくい。そこんとこ、このダウンはよく理解していてジョーゼット(※1)を選んでいるじゃないですか。ハイテクな天然顔は昨今のブームですが、そこに<アバハウス>の巧さがあると思います」

※1 主にウィメンズのパーティードレスやドレスウェアに用いられる縮緬(ちりめん)状の織物で、上品な光沢とシボ感が特徴。シワになりにくくドレープが
出やすいため、ラグジュアリーな雰囲気がある。

INTERVIEW KWD撚り杢ジョーゼット ダウンブルゾン 1

見た目とこなしが買いのポイント

本作は、真羽毛、つまり混じり気のない羽毛を扱っている唯一の国内メーカー<河田フェザー>を使っていますが、このブランドの魅力はどこにありますか?

光木 「世界でも希少な水鳥の羽毛を使っていたり、その洗浄に適した場所にあったりとウンチクは色々ありますが、このダウンに関していえばあくまで背中を押してくれる存在ですね。『ビギン』でもフィルパワーが650だとか800だとか、保温性の目安となる数値を買いの基準にしがちなんですが、個人的にはそんなにこだわっていません。都会で暮らしていたら、その違いってそうは体感できるものじゃない。日々の生活の中で、ワードローブの主役になれるものを選んでいるのが『ビギン』の読者。そこに刺さるお墨付きは<河田フェザー>にはたくさんあるけれど、この<アバハウス>には見た目とこなしに買いのポイントがあると思います。例えばこのショート丈なんて、ジョーゼットにスナップボタンの組み合わせとか、絶妙だと思いますよ」

実際に、昨年はショート丈の人気が高かったです。

光木 「上品な大人の色気を、カジュアルに表現していますよね。このくらいがちょうどいい、って思うポイントをうまく突いています。『ビギン』はカジュアル誌ですが、平日はスーツを着ている読者が大半なので、アウターはヒップが隠れているとスタイリッシュに見えるとか、使い勝手がいいなど提案はするのですが、色々なクライアント先と話していても、ショート丈ってやっぱり売れるらしい。世の中、そこって僕らが思っている以上に気にしてないというか、抵抗がないようです」

INTERVIEW KWD撚り杢ジョーゼット ダウンブルゾン

ファッションの冒険を楽しめるトレンド感

その中で、ダウンに限らずお客様はいま、どんな要素をファッションに求めていると思いますか?

光木 「例えば見た目が似たようなセレクトショップのオリジナルのスラックスをたくさん並べて、その中から「これだよ」って提案してあげるのが僕ら『ビギン』の役割。そこには着回し力やブランド力、コスパなどの項目があるけれど、みんな買い物することで得をしたいと思っているんです。そう言った意味で、このダウンはオン・オフ使える着回し力があるし、河田フェザーという最後の背中を押してくれるブランド力もある。しかもアバハウスって、セレクトショップのオリジナルより価格設定がちょっと高めじゃないですか。その少しの差の中にファッションの冒険を楽しみたいと思わせるトレンド感もちゃんと備わっている。だから定番を求め過ぎて変に頭でっかちになるより、フラットにモノの魅力を判別できるクレバーな人が<アバハウス>好きには多いんだと思います」

INTERVIEW 光木編集長が提案するコーディネイトはこちら

光木編集長が提案するコーディネイトはこちら

今回は、ロング丈のダウンで、2パターンの着まわしを考えてもらいました。

COORDINATE 1

光木 「ゴムリブのグレースラックスのリラックスした雰囲気が、ジョーゼットの風合いにすごく合いますよね。インナーはニットをさらっと合わせるだけでいい。ちなみにニットの中に着た白いカットソーは、ネックのリブに厚みがなく、伸びにくい処理が施されていて、インナーに最適。これは隠れた名品です」

COORDINATE 2

光木 「オン・オフ着回すなら、ロング丈がやっぱりおすすめ。ウールとポリエステルを混紡したジョーゼット生地は天然素材の風合いと上品な光沢感があるから、スーツとの相性もばっちり。ロング丈は前立てがスナップボタンではないところも落ち着いた印象を与えてくれる。ビジネスシーンで活躍できるポイントですね」

光木拓也 TAKUYA MITSUKI

光木拓也 TAKUYA MITSUKI

1977年生まれ。2000年に株式会社ワールドフォトプレスに入社。『モノ・マガジン』編集部に配属。
2006年に株式会社世界文化社に移籍し、『ビギン』編集部でファッションを担当。2017年10月より編集長に就任。形式にとらわれない自由な発想でコラボ企画を立案するなど、雑誌の枠を超えて多方面で活躍中。横浜、野球、キャンプをこよなく愛している。